【ネタバレ無しand有り】『Collar×Malice』レビュー&感想
こんにちは、乙女ゲーム大好きぽぽたんです。
今回は、乙女ゲームアワード2016年にて大賞を受賞した大人気作品『Collar×Malice』(カラーマリス)をトロコンしましたので感想を書きたいと思います!
一言感想を書くなら、「シナリオ重視派ならプレイすべき!オトメイト作品でも指折りの良作!」です。とても楽しんでプレイしました!
以下はネタバレ無しのレビューとネタバレ有の感想です!
いやー、もしも購入を悩まれている方の一助になればうれしいなと思います。
人に勧めたくなるタイプの作品でした。
【ネタバレ無し】レビュー
簡単な作品紹介
謎のテロ組織によって日常を奪われた都市”新宿”にて、警察官一年生の主人公は業務になれつつあった。
だがある日、組織に拉致され、毒を仕込まれた首輪をはめられてしまう。
首輪を外すには新宿を悪夢の街へと陥れた「X-Day」の謎を解かなければならないという。
主人公は「X-Day」事件を追う男性たちと出会い、正義を胸に、謎を追う。
レビュー
乙女ゲーム界において色褪せない大人気作品『CLOCK ZERO ~終焉の一秒~』『AMNESIA』を手がけた、島れいこPの鳴り物入りの最新作!!
『AMNESIA』の世界をよりドラマティックに仕上げた、最高を確約されたイラストレータの花邑まい氏!
そしてOPを飾るのは、大人気バンド「Plastic Tree」!!
オトメイトが金をずぶずぶにつぎ込んだ、渾身の力作であることが、このラインナップから漏らすレベルでわかりますね。
だが大作ほどコケる傾向にあるオトメイト。
果たして本作はどうなのか?と戦々恐々、様子見をしていたプレイヤーも多かったかと思います。
私もまさしくそれで、発売当初はP4やFF15などが発売されることを言い訳に、見送っておりました。
せっかくなので、この作品を良作たらしめた要素を列挙しますと、
- 乙女ゲームの癖に、攻略キャラクターが理性的すぎる
- 乙女ゲームの癖に、攻略キャラクターの重い過去が比較的あっさり流される
- オトメイトの癖に、攻略キャラクターとのディープキスがない
- 乙女ゲームなので、ほどほどに攻略キャラクターが依存してくれる
- 風呂敷を広げるタイミングが絶妙&風呂敷をきっちり畳んでくれる
- そこまで血みどろの話ではない
- オサレシステム
ただのシーン切り替えカットインですらこんなにオサレである。
簡潔な文体&テンポの良さが、物語にぐいぐい引き込まれていく要因なのだと思います。
1つ謎を解決したかと思えば、謎が出てきて、その謎は簡単には解けない。
どのキャラも趣向をこらしているので、「ハンコかと思ったけど全然違ったぜ!!HAHAHAHA!!!」とミステイクを認めてしまう程度にはシナリオ、頑張っています。
ですが推理もので「この声優は大御所だから犯人」みたいな、メタメタ推理をしてしまうタイプの人にはおすすめしません!!!!笑
メタ視点で物語を俯瞰する人には一瞬で物語の大枠がみえてしまいます。
そういう視点で見ておきながら、「犯人わかってたわ~つまらんゾ~」と作品を批判するのは粋ではないですからね。
そういう人向けの意表を突いた√もあるにはあるのですが、基本的に「物語を楽しむために脳みそを空っぽにする」スキルが必要になるかと思います。
良い意味で。
この物語で軸となる『X-DAY』事件とは、『アドニス』と呼ばれるテロ組織の起こした一連の殺人事件のことです。
簡単な概要は下記の通り。
- 4月に拉致られた汚職警察官が、動物の被り物をさせられ射殺される趣味の悪い映像を全世界公開!
- 6月には、とある中学校の一室で爆破事件!一クラス分の生徒が爆死!
- 8月は、あるネトゲプレイヤー十数名が次々に通り魔に合い刺殺!
- 12月、とうとうアドニスの毒牙が主人公に!致死性の毒を仕込まれる!
どうでしょうか。アドニス、悪いやつらです。
警察官という絶対的正義を背負った主人公が成敗してやらねばなりません。
この上記の事件で少しでも心がウキウキしてきた方は、本当にプレイをおススメいたします!
きっと想像するよりも風呂敷が広がります!そしてちゃんと畳まれていきます!
『Collar×Malice(以下、カラマリ)』の評価点はやはり話が完結した点が大きいです!
またカラマリ、主人公ちゃんが良識のある人間です。
人に寄り添い、誰かの傷を想い悩み、料理上手な不器用な人間です。
そういうところもあり、選択肢によってはもどかしい行動を取ったりもしますが、基本可愛いので許してください。
最初の難所である弟の関係も、ちゃんと良い形に持って行ってくれます。
本作品において、キャラクターとのいちゃいちゃが少ない点もあり、なぜ惚れたのかがわかりにくいという意見を耳にしましたが
あえて言いましょう。
可愛い+巨乳+性格が良い女の子が隣にいて、惚れない男がいるのか!?
いや、いない(反語)。
確かに、”どこに惹かれたのか”とキャラクターや主人公の口から語られることは少ないですが、そこはもう読解力を働かせてください!
死んでしまったキツネのごんの気持ちを考えるレベルの国語力を使ってください!!
ちゃんときっかけはあるぞと私は思います。
1つ欠点をあげるならば、キャラクター達が大人なので、序盤はあまり心の内を話してくれることが少なく打ち解けるまでに時間がかかる…ということでしょうか。
ですが攻略キャラクターと手を繋ぐまでいけば、ストーリーはマッハ!剛速球で展開していくので、ゲームの辞め時がわからなくなります。
睡眠不足必至です(私はそうなりました)。
いちゃいちゃは少ないとはいえど、気持ちを伝えた後の甘酸っぱいエピソードがあったり、キスぐらいはするので、ネオロマンス作品よりは甘いと思います笑
プレイをおススメできる人
シナリオ重視派はやって損無し!やるべき!
きっと今の乙女ゲームで、人気と作品の質が釣り合った作品はカラマリぐらいだと思います。カラマリをアニメ化せずに何をするんだ!?というぐらいには良くできた作品です。
いちゃらぶ好きは、シナリオにときめく要素がなければ見送ったほうが良い!
『ゆのはなSpring!』がとても面白いのでやりましょう!!
推奨!キャラクター攻略順
白石は二週目以降に攻略でき、柳は4キャラ攻略後に開放されます。
謎解きものですので、「この順番だとより楽しめるかも」というものがありますのでご紹介します。
榎本峰雄→笹塚尊→岡崎契→白石景之→柳愛時
私は上記の攻略順でプレイしましたが、楽しくプレイできました笑
ご参考頂けましたら幸いです。
以上、ネタバレ無しのレビューでした。
これから下記はネタバレ有の感想です!
【ネタバレ有り】感想
まさか『胸キュン☆告白百選』がルートを跨いで出てくる存在とは思いもよりませんでした!!笑
ある意味アドニス実行犯達よりも存在感があって、笑ってしまいました。
白石√でちゃんと活用されていたのも面白かったです。純真かよ白石。
ネタバレが嫌な方はこちらを閲覧していないでしょうか。
以降は、既プレイ向けにばっちりネタバレをしたいと思います。
総合的な感想
このクオリティの作品をオトメイトが発売したら、そら乙女ゲームアワード一位も取るよなという納得の作品でした。
物語、キャラクター、システム、どれも洗練されていました。
さすが島P、需要と自分たちの理想を混ぜるのが上手い…!と唸りました。
きっとカラマリの派生作品がどんどこ発売されると思いますが(これもうれしいけれど)、もっと新作ゲームを作ってほしいと願わずにはいられませんでした。
乙女ゲームは良作が発売されても、やはりブランドに求心力がなければ埋もれるor発売後じわじわ売れていくというのが常です。
発売直後に爆発的な人気を得ることはできたのは、やはり多くの女子に愛されているオトメイトブランドだから。
いつも話している気がしますが、オトメイトには圧倒的資本で乙女ゲーム業界を引っ張っていってほしいですね。
カラマリはわりとちゃんとした刑事もの&サスペンスものというのは嬉しい誤算でした。
乙女ゲームなので、やはりキャラクターとの心の交流に重きを置くのかと思っていましたが、想像していたより硬派にサスペンスをしていましたね!!笑
ミステリ小説大好き人間なのですが、笹塚の圧迫面接で何度も選択肢を間違えました!間違えると露骨に嫌な顔をされるのも、笹塚らしくていとおしいぐらいには調教されましたが。
ただ前述したように、メッタメタ視点で物語をみてしまうと犯人やキャラクター達の過去が垣間見えてしまうのも確か。
私も「こんなにいい感じのキャラなのに、あいつにルートが用意されていないのはそういうことか…」とプロローグの時点でメッタメタ目線をしていました。ありがとうございました。
ですが物語はとても楽しめました。
いくら想像がついたとして、至るまでの過程が大切なので、そこはきちんとカラマリは描けていたかと思います。
ただ「”正義”は絶対的なものではなく、各々の立場によるものなんだよ。」みたいなところを伝えたかったのかと思いますが、ヒロインの逡巡でわかりにくいものになっていたような気がします。
警察側とアドニス側の二項対立として描いたため、それこそニッチにもサッチにもいかないような葛藤がわかりずらかったかもと…。
まあアドニス実行犯達が追い詰められる原因となったやつらの”悪意”というものが本当に邪悪なので、プレイヤーも思い悩みますよね。
でも私刑は良いものじゃないゾというのがカラマリ。凄く優等生な作品だと思います。
教祖様に関しては後個別に語れたら…!と思います。
また凄く好きだったのは、ルートによって香月との打ち解け方が変わるところです。
榎本√だと、新しいお兄ちゃんができたかのように香月がどんどん明るくなり、
笹塚√だと、あんな奴と付き合って大丈夫なのか!?と香月が心配してくれるのが嬉しかったり(そして岡崎と仲良くなっているのにほっこりしたり)
この差である。
クリスマスパーティをしている姿をみてほろり…ときたり…。
香月も主人公も、いうならばボタンを掛け違えただけで、お互いのことを大切に思っているんですよね。最初はお互いに「こっちはこんなに想っているのにどうしてわかってくれないんだ!!」と頑ななのも、ある意味兄弟だなあとプレイ後は生暖かく思います。
香月は、友達が失踪したりバンドのメンバーが過去誤認逮捕されてたりファンレターをくれた人間が殺人犯だったり姉はテロ組織に狙われていたりと、どこの主人公だよみたいなパーフェクト災難人で同情します。
渦中の人なのに、なにもできないもどかしさみたいなものを香月はいつも抱えていたのだなあ。
以降はキャラの個別感想です!
柳愛時
オトメイトの黒髪に心を許すな、そいつは黒幕だ!
と信じて生きてきたので、柳さんも半信半疑になりながらプレイしていたのですが、柳さん…イイ男だった…
何の裏表なく、愚直に己の正義に従う彼は、本当に乙女ゲームのキャラかな?というハードボイルドさ。
しかもヒロインよりは年上なので、一見大人キャラにみえがちであるが、まだ20代なので可愛いところもある!すごい!完璧!
主人公とくっついてからは、押して押されてみたいな、どちらが場の主導権を握るか仁義なき争いを繰り広げているのも可愛いポイントでした。
付き合ってからの、やんちゃな時期のせいで口が悪い柳さんも最高です。
文句のつけがたい、頼りがいのある男でした。
みんなのパパなのもよろしい、パパ…。
こういうなーんの裏表もない無個性なまでの良い男性キャラが乙女ゲームでも出るようになったんですね、時代は変わった。
岡崎契
振り返ってみると、カラマリで一番拗らせていたのは岡崎でしたね。
岡崎の生き方を主人公が2章も使って説教して力づくで納得させる様には涙がちょちょぎれました。
ここまで頑固な人間にはみえないのに、中々わかってくれない様子には主人公ともどもやきもきしました。
岡崎は他√だと柔和な物わかりの良い人に見える分、自√でのわからずや感は衝撃でした。
まあくっついてからは…あれだよ!乙女ゲームだよ!
このシーンには笑わされた。
でも柳√(という名の大団円√)では岡崎の本質は救われないのが、また悲しいですね。
個人的には、次々と爆発する林から主人公を抱いてダッシュするスチルが「これぞボディーガード!」と拍手喝采でした。
好きな人はドハマりするタイプのキャラですね、岡崎。いいやつです。
榎本峰雄
主人公の童貞を一撃で殺す制服の被害にあってしまった可哀想な人。
おっぱいを強調したブラウス、ヒップのかたちがわかってしまうタイトなスカート、40デニールぐらいの上品に透ける黒タイツ…。
これが童貞を殺す服じゃなくてなんなんだ!コスプレかよ!
しかしここまで仲間達から童貞いじりされるキャラも珍しい…と思いながらも、童貞キャラ大好き人間としては、そういう仲間との関係性まで含めて美味しかったです。
テンプレ反応すぎて、むしろ国を挙げて保護すべき童貞である。
ヒロインと仲良くなるまでに紆余曲折あったのでわかりにくかったですが、榎本の人当たりの良さがわかるエピソードが好きです。
あれだけ気さくで甘え上手・甘やかし上手だったら出世もするし、柳さんも仲間に入れてしまうわい。
だからこそ彼は償わなくてもよい罪を背負い、苦悩してしまうわけですが…。
白石√にはなりますが、うきうきでクリスマスツリーを用意する榎本に笑わされて場が和んだりしましたね。
ムードメーカーです。
仲良くなれば気のいいお兄ちゃんなところもポイント高いです。
頭脳明晰すぎる探偵事務所勢の中でも、主人公と同じスタートラインに立てるキャラなので、相棒感というか親しみを持ちやすい人でした。好きです。
童貞だけど。
笹塚尊
帰国子女は破廉恥担当という俗説を崩さなかった人。
カラマリは奥ゆかしい攻略キャラが多いので(あの白石ですらそうだし)、笹塚√はかなり甘めだったのではないでしょうか。
これなどは涙がでるくらい笑った。
笹塚√で面白かったのは、主人公が手料理スキルを活かそうとする選択肢は好感度が下がるところでした。
おいおい、乙女ゲームなのに女子力を発揮させてくれないのかよ!そして女子力に惚れてくれないのかよ!榎本は一発KOだったのに!
主人公を自宅での飲みに誘うなど、異性慣れしすぎていてヤレる男感(意味深)が凄かったですね。
他人に興味がないタイプの人間なのできっと童貞だろう…などと思いながらも、榎本との差はどこで生じたのか。慢心、環境の違い。
私は毒舌キャラがあまり得意ではないのですが、√も終盤になると笹塚の口の悪さが心地よくなりました笑。
一言ガツンと言ってやれ!笹塚!みたいな心境になるようにしっかり調教された結果ですね。
悪びれもない。
余談なのですが、笹塚√をプレイするとドーナツが食べたくなりました。
あえて抹茶ドーナツを食べながらプレイしていました。
白石景之
最近の乙女ゲームは、フェロモン担当キャラこそ実は純粋だったという展開が多いのですが白石もまさにそう!
最初は大学教授のような抑揚で長文を一息に喋るキャラだったのに、次第に「なに…訳わかんない…」みたいな短文を話すかわいい子ちゃんに。
√も中盤になるにつれ、母性がくすぐられたプレイヤーも多かったのではないでしょうか。
ですが、一番怪しいキャラこそむしろ一番怪しかったという、むしろ新しい設定には驚きました。
まさかの内通者が一番怪しい白石ですものね、ちょっと笑いました。
彼の行動原理は何もなく、生かされている間は命令に従うだけ。
一見無為にみえる人生の中にも、御国や柳という彩りがあったと気づかされるのが彼の√であり、柳√なのでしょうね。。
アドニスという組織は計画的にスパイを養成できるほど大規模な組織であった…というのが彼の√で判明するのですが、それ以上の規模感の説明や描写が少なかったのは少し残念でした。
主人公という一般市民の目線で事件を追う物語なので、それ以上の説明は不要だと判断されたのだろうか。
切ないのが、彼が猫ファッションを卒業してしまうことですね。
この可愛い猫耳と猫ネクタイピンが
無くなってしまうのは切なくはないか??
そしてあの後日談シナリオは悲しすぎないか???
だれかの正義のために、罪人は裁かれる。
法の下で裁かれることを望んだ彼は何を考えて、望んだのだろうなあ。
その他のキャラクターについて
白石のところにも少し書きましたが、ちょっとだけ残念に感じたのはアドニスという組織がどれほど強大で・多くの人間を抱え・資金があるのか、という部分をもう少し掘り下げることができたなら、よりラストバトル(?)に緊張感が持たせられたのではともったいなく感じました。
逆に風呂敷を広げ過ぎなかった結果なのかもしれませんが、それのいかんによってはもっと絶賛できたなあ…。
教祖様の掲げる”正義”が悪の組織の親玉!というよりは、駄々っこのように感じてしまうのももったいなかった。
もっとお互い理解し合う余地はない、この弾丸が正義を決める。みたいな燃える展開に持って行ったほうがよかったなあ。と偉そうに文句をいいましたが、ゲームはとても楽しめたので満足です。
また御国は妄信担当とのことでしたが、もう少し構成員としての狂気をみせてほしかった…!幼馴染を気にする良い人みたいなポジションになってしまったのが残念です。
好きな犯人は宇野兄妹です。子供が可哀想な話には弱いんじゃよ…。
また個人的に峰岸警視が好きなので、FDがもしも出たら、攻略できたらいいなあ。
最後に
ここまで読んでくださりありがとうございました。
大満足の作品でしたし、どうしてもっと早くにやらなかったんだ!?と何度も思いました。
もしも真犯人が誰なのか知っていたとしても、意外と真犯人は関係なかったりもしますので、是非ともプレイしてみることをおすすめします!
結論に至るまでの過程が面白い作品なので、ぜひぜひ!
しかし2016年はゲームの豊作年でしたね。2017年もそうなることを祈りつつ。
よろしければゲームの感想などをお聞かせいただければ嬉しいです。
ぽぽたん (@popotanhayume) | Twitter
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