ぽぽたんのうつハック

ぽぽたんは飼い猫のあだ名です。

『家猫ぶんちゃんの一年』は飼い主が孤独死したところから始まる!レビュー

 

 こんにちは。ぽぽたんです。

私も可愛い可愛い猫を飼っている猫バカです。

そんな猫バカ界隈が震撼した、もう涙なしではみれない作品をご紹介します。

 

 

単行本『休日ジャンクション』に収録されている『家猫ぶんちゃんの一年』

 

SNSでとあるマンガが拡散されました。

その内容もかなり衝撃的なもので、猫バカ界に激震が走ります。

 

 

最初の2Pはよくあるほのぼの猫マンガ。

さえないおじさんが、懸賞であたった自動エサやりきに猫の名前を吹き込んだり、大切な飼い猫と遊んだり…。

また飼い猫の「ぶんちゃん」もおじさんを気に入っているのが、布団の上で寝る姿から伝わってきます。

凄くいじらしいです。

しかし『家猫ぶんちゃんの一年』はほのぼのマンガじゃありません。

 

突然3P目でおじさんが突然倒れ、

4P目でぶんちゃんも読者も目を丸くしておじさんの姿を眺め、

5P目でようやく、「おじさんは死んでしまった…」という事実を受け入れざるをえないのです。

 

飼い主が孤独死したところから始まる猫マンガ。

もうこの先は悲劇しかないのでは?とどんな人でも嫌な想像をしてしまうはず。

猫を飼っている身としては目を逸らしたくても、6P目のぶんちゃんが群がるコバエで遊んでいる姿に釘付けになる。

 

もう無理。

フィクションとはいえ、あまりにつらい光景に自分の飼い猫に重ね合わせることすらできない。

この地点で大号泣。

 

「どんな結末でもいい、このままぶんちゃんを見捨てることはできない…」

そんな一心でKindleでポチポチしました。

 

 

 

「バッドエンドだったらどうしよう」という方へ

 

この作品、どうしても嫌な想像を掻き立てられます。

一人暮らし・密室・飼猫が一匹…

ああ…

 

ですが、「家猫ぶんちゃんの一年」なので大丈夫ですよ。

ご心配に及ぶ「ぶんちゃんの一生」ではありません。

ぶんちゃんの生き様を通して生命の輝きを表現している作品です。

 

「ぶんちゃんが幸せになるところがみたいけど、グロかったらどうしよう」という方。

全く血みどろのグズグズの描写はないのでご安心ください。

 

下記は少し踏み込んだネタバレをしますので、一旦のネタバレすら踏みたくない!という方はお気をつけてくださいね。

 

 

どうして少しネタバレをしようかと言いますと、やはり安心感を持って読んで頂きたいからです。

私もツイートでマンガを読んでから不安で不安で、また読中は不安で不安で、読了したときに心の底からホッとしました。

「家猫ぶんちゃんの一年」はホラー漫画ではありませんし、急な展開で読者をアッと言わせるような作品ではありません。

むしろもっと硬派で、猫という存在を通して生きる道を考えさせるような、そんなお話です。

もっと多くの人に読んでもらいたいので!安心させるネタバレをします!

 

 

このネタバレを読んで安心してください!

ここからちょっとしたネタバレです。

なんと、ベランダへの戸は開いています!ヨカッタ、密室じゃない!

ぶんちゃんのトイレ(と思われるような物体の描写がある)はベランダに置いてあります。

だからいつでも出られるようにしてあげていたのですね。

ですのでぶんちゃんはエサを求めて外へ出て行きます。

 

このネタバレの有無で、読書中の安心感が変わってくるかと思います。

これ以上のネタバレをみたくないという方は、下記のネタバレ感想は気をつけてくださいね。

 

 

 

『家猫ぶんちゃんの一年』ネタバレ有り感想

 

涙無しではみられませんでした。

もしも自分の飼っているペットを、自分ではどうすることもできないような状況で、放置してしまうことになってしまったら…?

人間は簡単に死にますし、日常生活は震災や天災で簡単に崩壊します。

その時に愛するペットはどうやって生きていくの?

 

飼い主のそんな不安をよそに、ペット達は彼らの力で強く生きていけることを描いたのが本作なんだと感じました。

著者の真造圭伍先生も「自動エサやり器をみて、飼い主無しでも生きていけると思った」というところから話を作ったと巻末に書いてありましたし。

 

しかし、やはり家猫でぬくぬくしていることに比べたら苦労が圧倒的に多いんです。

縄張りに悩まされ、飢えに耐え忍び、寒さに耐え忍び…。

 

できることなら抱きしめて美味しい缶詰を食べさせて、フロントライン(※ノミをとる薬剤)して、暖かいホットカーペットの上で寝かせてあげたい…。

大号泣。

こんなにマンガで泣いたのは、うしおととら以来…。

 

ぶんちゃんの生きるための行動の数々は、ただ手をこまねいて見続けることしかできない飼い主には辛すぎるんですよね。

でもぶんちゃんは生きるために努力をし続けている。

 

 

また表情もとても豊かでした。

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おじさんの遺体が運ばれていくのを見送るぶんちゃんのシーンですが、なんとも哀愁が漂います。

大好きだったおじさんが居なくなることをぶんちゃんなりに理解しているのです。

もう泣いた。本当に泣いた。

 

 

あとラストページのこのシーン。

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おじさん(のシミ)の隣で寝るぶんちゃん…。。。。

なんと穏やかに寝ているのか。

ぶんちゃんという猫のいじらしさを最も表現したシーンではないでしょうか。

 

ぶんちゃんが新しい家で、「たま」と呼ばれて返事をするシーンも泣きました。

「ぶんちゃん」という名前を捨てざるをえなくなっても、ぶんちゃんは真っ直ぐ生きていくのです。

私の飼い猫もこれぐらい強く生きて欲しいと思ったシーンでした。

 

 

最後に

 

いかがだったでしょうか。

とりあえず、かなり泣いたということが伝わればいいなと思います。

実際、この記事を書いている間も思い出して泣きました(笑)

ペットを飼っているか否かで印象がかなり変わる作品だろうなと思います。

 

個人的には、『100万回生きたねこ』ぐらい人に知れ渡って欲しい作品です。

 

またぶんちゃんの話しかしていませんが、他の作品も良作ぞろい。

胸が締め付けられるけれど、少しホッとするような、そんなお話です。

そんな良作が540円買える!読める!

いい時代になったな~!